酒やタバコを愛するものにとって、言われると悲しい言葉が「それいくらかかってるの?」。楽しみには必ず対価が必要で、その価値があると感じるこそ、愛煙家は妙に高い税金を収めつつ、嫌煙家に嫌な顔をされつつ、吸っている。愛煙家にとって、タバコは生きる上で必要と感じているアイテムである。しかし、生存をミニマムに考えたとき、それはきっと必要ではない。なくても生きていけると分かっていながらも、つい頼ってしまうものがあったりなかったり。生きる上で必要なものとはなにか。その答えを、実践しながら検証してくれるのが、サバイバルドラマ「Alone」です。
USAのサバイバルドキュメントドラマ「Alone」。根強いファンがいるようで、現在シーズン10までAmazonで鑑賞が可能(チャンネル課金が必要)。キャンプ好きにはたまらない優秀な作品である。概要としては、とにかくサバイバル。限られたアイテムを持ち、参加者を人っ子一人いない大自然に放り込み、残り1名になるまで放置するという、恐ろしくシンプルかつダイナミックなドラマである。撮影は参加者が自ら行うのも大きな特徴の一つ。参加者への撮影レクチャーのすごさと、編集者の編集魂により、ハードなサバイバルライフを温かい自宅で見ることができる。
このドラマを知った日に、シーズン1から2まで、一気に見た記憶がある。とにかく面白い、というか好き。ルールはあるし、本当の意味でサバイバルではないけれども、収録可能な範囲で考えると、これが最高峰なのではないだろうか。
- サバイバル中、撮影スタッフが同行しない
- 危機・健康管理はする(なにかあれば1時間以内にはスタッフがかけつける)
- 衛生管理のため、歯ブラシを支給
- 長いときは滞在70日以上(もっと長いのもあるかも)
- ためになるミニ知識キャプ付き
サバイバルを成立させるために、人との接点を限りなく除去していることが、この作品の最大の魅力だ。どのシーズンにも共通するのが以下
- 持ち込めるアイテムは限られていおり、食料は不可
- 参加者はサバイバルスキルに自信大
- もちろん優勝する意気込み、覚悟あり
- 孤独かつ、獰猛な動物に遭遇する場所
- 優勝告知のときに、もらい泣きしてしまう
参加者の多くは、本格的なサバイバルスキルを身につけており、日常的にアウトドアを行っているベテランばかり。レンジャーだったり、アウトドアの講師だったり、元特殊部隊だったりする。そんな猛者たちが優勝賞金50000ドルをかけ、孤独かつ熾烈なサバイバル耐久レースを行うのが「Alone」だ。参加者たちは、それぞれ指定された場所へ送られそこで孤独なサバイバルライフをスタートする。まずは、水の確保。これはおそらくスタッフが下調べを行い、水の確保が可能な場所を必須条件にしていると思われる。まぁ、水を探していたら他の参加者に遭遇ということが考えられるので、禁止事項にしているのだろう。水の確保ができたらば次は、シェルター(寝る場所であり拠点)作り。これが見ていてとても楽しい。多くは、まずタープで簡易的に雨風をしのげる空間を作り、凝る人は丸太で小屋を作る。個性があり、独創的。そして最後に、食料探しだ。ほとんどの参加者が、プロテインを魚で摂取する。ほぼ釣りで、網をつかった罠を用いるケースもあるが、なぜだか最後まで残るのは釣り。網で継続的に取れそうなものだが、取れなくなる。あとは絵的に地味だからだろうが、あまり登場しない自生している植物であろう。とにかく、その土地で栄養になりそうなものを、ひたすら集めて生存を続けるのである。そして、その結果はというと、シーズンごとにもちろん様々だが、リタイアの理由はほぼ同じ。以下、私的体感統計。
1位 寂しいから帰る
本当に多い。ひたすらこれ。3~12日くらいで、寂しさの限界を迎える参加者が多い。
孤独なサバイバルって知ってて参加していても、寂しいものは寂しいのである。
2位 なんか満足したから帰る
これ。個人的に一番後味の悪い理由。「ここで得られるものは、もうない」とか、「これ以上は収穫がない」とか、「満足した」とか。優勝するまで帰らないんじゃなかったんかい!! と思わずツッコミをいれたくなる。
3位 お腹がすき過ぎて帰る
これは本当に仕方ないっちゃ仕方ない。私なら2日でギブ。
4位 怪我・体調不良
これも仕方ない。(けど、それはまだいけるのでは?も多い)
5位 ドクターストップ
これは、もう悔しいですね。見てる方も悔しい。「Alone」では、健康を害するほど痩せてしまうと強制アウト。大量の保存食があったのに、食べずにアウトとなった参加者もいました。すごいメンタル!
6位 怖い動物がいたから帰る
これはもう遺憾の意。最初から言ってたやつ!! まぁ、怖いですよね。。でも、このパターンは本当に少数。
7位 ものをなくしたので帰る
火打ち石を無くしてギブアップした参加者が・・・。んー、なんとも。
こうみると、1位の寂しいがすごいなぁと思うわけです。今回のテーマに立ち戻りますが、生存するにおいて、重要なものは「寂しくない環境」なんじゃないかと! つまり、タバコもお酒も生きていくために、必須なものなんじゃないかと思うんですよね。寂しさは、ときに人を殺すわけで、辛くても寂しくないのであれば、それは恵まれた環境なのかもしれません。
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