つまらない論 02

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前回からの続き

前回挙げたつまらない話を例に解析を進める。

A「昨日さ、ウヒヒ ※1、あー、一昨日か※2、フフフ、いつも行ってる居酒屋※3でさ。ハハっ※4、キノさん※5、いやその店の店員なんだけどね。あー、なんかサービスで刺身くれてさ」

B「うん」

A「でさ、イヒヒ※6、ありがとうーつって受け取って、あー※7、カウンターね※8。食べてみたんだけど、ウッヒヒヒ※9、ぬるくてめっちゃまずくてさー※10」

B「うん」

A「こんなのサービスじゃねーよ! アッハ※11 残飯処理※12 じゃねーか!つって※13」

B「うん※14」

注目していきたい点に※をつけたが、多い。見直してつらくなるくらいつまらない話だ。びっくりする。つまらないに負けずに解析をしていきたい。

※1 誘い笑い

これから面白い話をしますよ、という合図。明るいけどつまらない・よく喋るけどつまらない人に多くみられる。そもそも誘い笑いは上級者テクニックであり、あんなことあったなぁの時点で笑ってしまうほどの話であることを示す。相手の関心を引く効果があるが、ハードルはグッと上がる。話に大して抑揚が強すぎる人、大袈裟と言われがちな人にも多い。話のネタに自信がない場合は、無表情でスタートした方が面白く感じることの方が多い。

※2 言い直し

相手に想像してもらい、話に引き込む。訂正するほど、重要なポイントである方が良い。千原兄弟のジュニアさんが得意な印象。今回の場合、時期を言い直しているので、昨日ではなく一昨日であることが話のネタに関連するとベター。話に関連しなくても、話の状況を想像してもらえるので、その後の話が入りやすくなる。

※3 常連アピール

私には行きつけのお店があります。という謎の自慢にならなければ良し。

※4 6 追加誘い笑

冒頭での使用があり、話に進展がない追加誘い。面白い情報をまだ伝えていないことを自覚していない。もしこの時点で追加誘い笑いがあるなら、とてつもなく面白いことがないと成立しない。

※5  追加常連アピール

この時点で※3が謎の自慢であることが確定。でもキノさんってすてきなあだ名だなと思いました。

もしかしたら、A氏はキノさんの話をよくしていたのかもしれない。キノさん情報として伝えていたとすれば、この話にも情報価値があるが、B氏からキノさん情報を喜んでいないのが分かるので、やはり謎の自慢で確定とする。

※7  あー、あーなどの、繋ぎ音

言葉に詰まるとついついでてしまう えー えーっと などの謎の声。情報がないこの声は、音であり、まだ話しますよ・続いていますよー という合図だ。これについては、出さないことが望ましいが、ゼロにするのには修練が必要で、私も出ていることがある。直接的なつまらなさではないが、あまりに多い人、むしろこの音を増やそうとしてるんじゃないかという人も多い。そんな人は、何か情報を伝えたいのではなく、音を発したいだけ幸せを感じる人として処理しよう。ついつい出てしまう場合は、無言にした方が良かったりするのでお試しを!

※8 焦らし

話の落ち、結果などの前にいれると効果的。だが、この場合、カウンターでもテーブルでもどっちでも良い。話を進めてください。

※9 誘い笑い

誘い笑いは、話の進行の邪魔にもなるので、やはり話術上級者の使用をおすすめしたい。本当に笑ってしまう人の場合は、アリ。笑上戸の人は絶対に愛されるので大丈夫ですが、自分が本当に笑ってしまっているかどうかは冷静に判断を。相手は敏感に本当に笑っているか気づいてしまうもの。あー、ごめん、本当に笑って話せない〜 の8割は謎の誘い笑いに気付かれています。誘い笑いは、なんとなく場が盛り上がっているような錯覚に陥りやすいので、注意しましょう。本当に笑ってしまう場合は、「この話すると、笑ってしまってうまく話せないんだけど、良い?」など、先に宣言すると好感度が高い。でもやっぱり、誘い笑い多数はきつい。その面白さを本当に共有できれば、面白い話になるので。

※10 結果

話のオチ。多数の誘い笑いから想像できない簡素な落ちであり、「落ち」になっていないタイプのやつ。都市伝説に、関西人は話に落ちを必ずつけるとあるが、そんなことはない。会話はコミュニケーションであり、落ち(笑い)は必要ない。あった方がより良いが。情報交換であり、気持ちの理解を深めあえる・親睦を深めることができれば成功だ。

この場合は、ここまでの流れと落ちに乖離が多すぎて、落ちとは気づけない。「それが落ちなの?」とも言えないので、変な間が生まれる。

※11 落ちの弱さを気にしない強メンタル 誘い笑

今のが面白いところですよ 誘導。強メンタルに思えるが、本当に面白いと感じているケースと、常連である居酒屋では鉄板ネタなのかもしれない。つまらないを考えるにあたり、重要なのは、それを笑う人もいる可能性がある懸念を忘れてはならない。又吉さんがなにかで言っていた「つまらない本は存在しない。それがその時、あっていなかっただけで、面白く読める時が絶対にくる」(セリフがあってないかもしれないけど、こんなことをおっしゃってました)。器が大きく、本を愛している方なんだなぁと思います。それと関係なく、今回のA氏の話はつまらないです。きっと芸人さんが「すべる」という表現を使うのは、そんな意味もあるのかなと。「つまらなかった」ではなく「すべった」わけで、そのネタ自体は面白い可能性が高い。面白さを伝えられなかった、響かなかった、とっかかりがなかった、「すべった」。実際に、あるステージはまったく笑いがとれなかったが、別のステージでは大爆笑だったということが、多数あるそうな。

※12 13 自己ツッコミとフォロー

ちょっとつまらなさに耐えきれなくなったので、合算。

つまらないなあと感じる人ほど、自分の落ちに対してツッコミをいれることが多い。会話はコミュニケーションなので、ツッコミ・コメントを相手からもらう余裕が欲しいものだ。もう少し待って、B氏から「ぬるいお刺身はちょっときついよねー」など、もらえれば、仲の良い会話に聞こえる。面白さを重視しすぎた故の強引な会話進行。その結果、自分でツッコミを入れ、フォローまでいれることになっている。

思った以上に長くなってしまったので、続きは次回に。

次回こそ、つまらない定義にて完結します。

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